いい本 その6
「空飛ぶ教室」
ウィーナー・シュニッツレルとよばれる小牛のカツレツは、私も大好きだが、おとなの私はついぞあめ色の小牛のことなど思いだしたことはありません。
この次にあれを食べる時に、この話を思いだしたらどうしようと思う。
それでも私はやっぱり小牛のカツレツを喜んで食べるだろう。
それは人間が生きていることの半面でもあります。
そして、おそらくーというのは、もう私にはあの子ども時代のさまざまなことがはっきりと思いだせないので、確かなことは言えないのだが、でも子どもたちは、きっとこういうことをみんなよく知っているに違いないし、丸焼きのロースト・チキソを食べる度に、おいしいと思いながら、どこかでいたましい思いをしていることでしょう。